岸和田モダンをあるく〜四十三銀行 岸和田支店


紀州街道を南下し「欄干橋」へ。
これぞ銀行建築という
赤レンガが見えてきます。

「欄干橋」とは…
古城川に架かっている
紀州街道の小さな橋なのですが…
元禄享保の頃の紀行文に
ぎぼしのある橋」とあり、
天保の古地図には「欄干橋」と。

欄干って名前が付いているのが
ユニークです反対側には漢字で。
この地方の「道路元標」となっていて、
「石の欄干橋 ドンと踏めば
 にくや雪駄の 一緒が切れた」

詠われた橋でもあります。

今は鉄骨アーチ橋なのですが、
川であったところは
緑道になっていて、
水が流れていないのです。
こちらは何か??フシギです。

花崗岩の石貼り赤い煉瓦
縦の線を強調したセセッション風
コーナーの丸みで威風堂々。

実は玄関が2か所あるのです。

当時の銀行建築としては、
とても珍しいかと思います。
いまは片方は、
キャッシュサービスのために。

メダリオンなどレリーフの使い方、
まさに銀行建築の王道をいく面構え。



辰野の赤レンガと思えるのは、
至極当然かも知れませんが…

側面一間分だけが、
なぜか全面白タイル貼り仕上げ。
増築ではないようで…

建築当初の写真からも確認できます。

内部には柱が一本もない、
いわゆる吊り天井構造。
辰野片岡建築事務所から独立した
佐伯與之吉の設計かと…。

確証が見当たらないのは、
辰野金吾の系譜を継ぎながらも、
佐伯さんのあらたな試みが
加わっているからなのでしょう。



「四十三銀行 岸和田支店」
→成協信用組合 岸和田支店
建築年:1920年(大正9)
設計 :佐伯與之吉(佐伯建築事務所?)
構造 :鉄筋コンクリート造り?、2階建て
所在地:岸和田市魚屋町2-1

このブログの人気の投稿

村野藤吾のファサード⑫読売会館・そごう東京店

野球帽の研究 補講〜高校野球帽

異界との出入り口《春日権現験記絵》