岸和田モダンをあるく〜自泉会館


岸和田紡績の創設者の
寺田甚与茂さんへ贈られた
慰労金を基にして、
跡を継いだ甚吉さんが建てた
寺田財閥の倶楽部「自泉館

会館前に立つ
寺田甚与茂さんの胸像。

寺田甚与茂(1863-1931)は、
岸和田に設立された
第五十一国立銀行の支配人を
努めるかたわら、
明治20年には第一煉瓦会社
(後の岸和田煉瓦)を興した人。
岸和田近代の父
とも称されています。

ベイス(飾り壺)
左右に置かれています。

1932年に渡辺節の設計、
大林組の施工で建てられたもの。

1943年(昭和18)に岸和田市に寄贈、
集会場や貴賓室など市の施設として、
利用されていました。

終戦直後に金属接収され、
面格子、シャンデリア、階段手摺が
失われていますが、
その後の改修を経ならがも、
竣工当初の意匠が保たれています。







1950年のジエーン台風では、
大ホールのステンドガラスが破損。

建設当初はこんな風だったとか。

演奏会リハーサルのため、
入口からパチリと。

ホール部分の外観はアールの付いた
ガラス窓が付けられています。

設計者の渡辺節さんと
寺田甚吉さんの関係は、
会館計画に先立った自邸の設計。

寺田邸洋館(芦屋)、岸紡大垣工場
寺田合名ビル(大阪市)など、
会館に前後して多くの仕事を
こなしたようです。

渡辺節は、
東京帝国大学建築学科を卒業後、
1916年(大正5)より大阪・東京で
渡辺建築事務所を開設。

商都大阪の紡績会社の社屋や、
港町神戸の商社関係の仕事を、
多く担当したとして知られています。

内部は古典的で豪華な雰囲気が
いたるところに…
曲線多用の変化に富んでいます。

スパニッシュ風で装飾の少ない
シンプルな外観とは対照的です。






「岸和田市立自泉会館」
建築年:1932年(昭和7)
設計 :渡辺節建築事務所
構造 :鉄筋コンクリート造り2階建て
所在地:岸和田市岸城町5-16
【国 登録有形文化財】

このブログは岸和田文化事業教会
自泉会館の紹介を参考にしました。

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