岸和田モダンをあるく〜泉州銀行 本店


泉州という地域の中心は、
やっぱり岸和田なのです。
というのも泉州地域の金融機関は、
泉州銀行」なのであり、
この地をリードした外観は
いまなお風格を失っていません。

設計は村野藤吾さん。
自泉会館」を設計した
渡辺節の門下生であったから、
この仕事を受けたのだと…。

一階部分のシブ鉄の格子戸
鎧のような雰囲気が漂います。

上部に横線のきいた連続窓。

鎖を繋げたかのよう。
安達秀俊さんは図面から、
こんな風に読み取られています※。

「1層部は、
 正方形の開口部が深い影を落とす。
 3層部には、
 総数27個の正方形の窓が花崗岩の
 フレーム枠ドルを連続して整然と並ぶ。

 村野の蔵書の『ル・コルビジェ全集』の
 表紙の裏に、左側にアプローチをみせる
 スケッチが残る。この計画のために、
 ル・コルビジェの幾つかの作品が
 参照されと考えられるが、それは
 1階平面図をみるとよくわかる。」

泉州銀行本店の
シンボルモニュメント
村野さんにとって、
羊は「商業の象徴」でありました、
現存しないが
新大阪ビル(1958年)でも、
コーナーに使われたそうです。

(南都銀行本店 イオニア式円柱の羊)
奈良の南都銀行の羊も、
きっとそうなのでしょう。

格天井の造りの荘厳さとの
コントラストが絶妙です。

岸和田が生んだ世界的デザイナー
コシノヒロコさんは、
池田泉州銀行の制服をデザイン
されてています。
岸和田のスタイリッシュさを、
受け継ぐ存在であり続けるでしょう。

「泉州銀行 本店」
→「池田泉州銀行 泉州営業部」
建築年:1959年(昭和34)
設計 :村野・森建築事務所(村野藤吾)
構造 :鉄骨鉄筋コンクリート造
所在地:岸和田市宮本町26-15

※参考文献
『村野藤吾のファサードデザイン
 図面資料に見るその世界』国書刊行会,2013年
「紀州街道沿いのファサード 泉州銀行本店」安達英俊

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