100年早く生まれた女絵師・応為〜映画『百日紅』ぬ

江戸の風景と人々の暮らしを
描いた杉浦日向子さんの原作を
映画化した百日紅(さるすべり)
観てきますた。

大学で美術史を学んでいたころは、
絵画の専門の先生から
「浮世絵以外なら指導できる」と。
1980年代の美術史研究は、
浮世絵研究は本流ではありませんでした。
 
AERAのインタビュー記事で、
主役・お栄(応為)を演じた杏さん、
こんな風に答えてはりました。

最初にお栄の作品を見た時に
「この絵を女性が描いたのか」と。
衝撃を受けました。
西洋の技法を取り入れながら、
それだけではなく、
独創的な世界をつくっていること。…

映画のエンドクレジットにも登場の
吉原格子先之図》
夜の吉原遊郭を描いた、
妓楼の「張見世」(はりみせ)の光景は、
室内の行灯から外に格子があって、
ゼブラで遮られています。

でも、なぜか一番手前にいる花魁、
提灯に一番近いとこに居るのに、
かえってシルエットだけで登場。
ところでこの花魁…
実は 応為 自身じゃないかぁと思う。

虎次郎の勝手な解釈なんですけど…
北斎の娘として、
絵師のもとに嫁いだことがあるけれど、
その後 北斎の元へ戻って、
仕事を手伝い孝行に励んだのだと。
ゴーストアーティスト?」ではとの、
映画の劇中にも出てきたエピソード。
美人画は応為のほうがうまい」と
評価があり北斎を唸らせるほどの力量は、
版元や摺師たちからも
一目置かれてていたのだと想像されます。

三曲合奏図》葛飾応為 画

でも・・・
応為のものと伝わるものは少ないので、
彼女の息づかいを感じるのは難しい。
絵師、版木を彫る彫師、
摺師といった人たちに、
きっと取り囲まれていたのだと思います。

北斎という光源があまりにも強すぎて、
影にならざる天命を宿していたのでは。
そんな風に思えた映画でした(・ω・)v
女の人が女として売り買いされる場、
花魁たちの顔は ほぼ黒塗にて消され、
男子と同じような活躍を許されない、
ということにあがらうことよりも、
光と闇を操ることで、
時代の先の先へと踏み込んで
いたのかもしれません

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