絵にみる和食通④ 季節の味4月かつお

江戸時代になって江戸では、
初鰹を初夏の味として賞味し、
大金をはたいて着物を質に
おいてまでもとめていたようです。
「十二ヶ月の内 四月」渓斎英泉
目には青葉山ほととぎす初鰹
有名な山口素堂の句。
鰹を手にする
女の向こうにもホトトギス。
「其まま地口猫飼好五十三疋」歌川国芳(部分)
長谷川時雨の『初かつを』では
この句をこう解説しています。
「これは土佐でも住吉でも、
 自由にはめられる、
 五月日本のいさぎよさだが、
 鎌倉といふところに鰹の意義がある。
 鰹は勝男に轉じ、
 釣上げた姿もピンと張つてゐる強い魚で、
 牛の角でなくては釣れないといふし、
 大擧して寄せてくるといふところなど、
 勝夫武士とこぢつけないでも、
 その味と堅實さが、禪に徹し、
 法華經にひたぶるだつた
 鎌倉武士氣質に似てゐる。」
「猫の当字 かつを」歌川国芳
こんな句もあります
初鰹旦那ははねがもげてから
「はねがもげてから」は
飛ぶように売れる勢いの
いいうちは買わないということ。
十二月の内 卯月十二月の内初時魚」三代歌川豊国

初鰹煮て喰ふ氣では値がならず
「煮て喰ふ氣」は刺し身にできるものは
高いからとの嘆きがうかがえる。

初鰹玄関ふまぬ残念さ
鰹の高騰は
相当なものであったようです。

「書画五十三駅 小田原」芳虎

今では初鰹は生姜醤油で
食べることが多いのですが、
実は江戸っ子風は「からし」
初がつを 銭と芥子で二度落涙
梅にうぐいす鰹にはからしなり

春のすへ銭へからしをつけて喰い
通になると「山葵」ってことだとか。
いずれにしても“毒消し”を
添えてってことなのでしょうね

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