虎次郎おとなの散歩 東福寺 八相の庭

1890年に再建された方丈には、
向唐破風の方丈表門があります。
菊の御紋があるから「恩賜門」とも呼ばれるのは、
昭憲
(しょうけん)皇太后の寄進である。
昭憲皇太后とは明治天皇の皇后のこと。



切妻を正面とする禅宗様式の「庫裏」から入る。
廊下を通って行くと「方丈」を取り囲んだ、
デザインの異なる四つの庭園「 八相の庭」。

「龍吟庵」と同じく
重森三玲
(しげもりみれい)氏の手によるものなのだが、
こちらは1939年に作庭されたもの。




「方丈」とはもともとは1丈四方のことだ、

鴨長明の『方丈記』にもあるように
   隠遁の場のことだったが、
仏教においては方丈の中に全宇宙が内在しているとし、
僧侶が生活する建物自体を
   「方丈」と呼ぶようになった。
近年になって住居というよりも、
接見の場としての性格を強めていく。
こちらのは近代のものだから特に顕著だ。

最初にみえるのが「北斗の庭」の東庭。
北斗七星はお釈迦さまのことなのだそうだ。
あの「東司」の柱石として使われていた石材が
リサイクルされて北斗の七星を顕す。



方丈正面の南庭は210坪ある。
蓬莱」「方丈」「瀛州(えいしゅう)」は、
渤海湾に面した山東半島の
     はるか東方の海にある三神山、
不老不死の仙人が住むと伝えられている。


これに「壷梁(こりょう)」を加えて四つの仙島。



西方には「五山」のが苔生した築山。
そして周りの渦が「八海」。
南庭全体で「九山八海」という
仏教の世界観を表現しているとか???





そして西庭「井田市松の庭
サツキの刈込みと砂地が大きく市松模様を入れて、
くず石を方形に組んで「井田」をあらわす。
サツキがあることで季節によって変幻するとか。



西庭と北庭の間の「通天台」より
         「通天橋」をのぞむ。



「市松の庭」へ...
もともと南の御下賜門内に敷かれていた石が
市松模様に配されている。
敷石の間隔を少しづつ広くすることで、
奥行き感を出しているのだそうだ。 

「八相の庭」の八相とは、
釈迦がこの世に出現して示した8種の相に通ず、
八相成道(はっそうじょうどう)
     に因んで命名されたとあった。
「八相成道」とは釈迦の生涯の八段階のことで、
調べてみるとこうあった...

「下天」(げてん)    時を知り、この世に降下する。
「託胎」(たくたい)   仏母の胎内に宿る。
「出胎」(しゅったい)  仏母より出世する。
「出家」(しゅっけ)   出家し、仏道修行をする。
「降魔」(こうま)    魔が成道の前に出現する。
「成道」(じょうどう)  魔を降伏させ大悟する。
「転法輪」(てんぽうりん)大悟の後、説法し、衆生を教化する。
「入涅槃」(にゅうねはん)使命を果たし、入滅する。

そしてもう一回「南庭」を...
ちなみに波紋の手入れは
    ほぼ月に2回のペースとか。



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