仙厓『恵比寿図』

『恵比寿図』

1月10日はいわゆる十日戎でしたね。
「商売繁盛で笹持って来い」ですわ。
でも「えべっさん」って、
群がって生えているではありません。

孟宗竹(もうそうちく)の枝で、です。

青々とした葉は冬も衰えることがありません。
繁殖力旺盛なさまは
  強い生命力の象徴なのでしょう。

外来の者を意味する「えびす」
「夷」、「戎」、「胡」、「蛭子」、
「恵比須」、「恵比寿」、「恵美須」などなど、
   書き方は実にさまざまだ!!
地名に使われていることも多いですしね。






















この絵は仙厓さんが書かれた『恵比寿図』で、
九州大学文学部図書室に所蔵されているもの。
鯛と釣竿を抱えたおなじみの「えべっさん」ではなく、
 鯛を押さえ込んでいます。
 釣り上げたのがよほど嬉しかったらしく・・・
 烏帽子姿も乱れがち・・

画賛には、

「今歳の仕合 是れて知れた」とあります。





















こちらはおなじみのスタイルで、
 釣り竿と鯛を抱える姿。
「祝ふた々々」の筆が添えられています。


実は七福神といってもおめでたい図として、
江戸時代頃から宝船にのる七神が描かれたもの。
大黒さん毘沙門さん弁才天さんヒンドゥー教
布袋さん中国仏教、道教からは福禄寿さん寿老人さん
実はえべっさん だけが日本の土着信仰からくるものだと。

室町時代末期頃から信仰されていると言われているが、
やはり七福神としてメンバーが固定されたのは、
江戸時代中期以降だと言われている。

イザナギ、イザナミの子である蛭子命(ひるこのみこと)か、
もしくは大国主命(大黒さん)の子である
 事代主神(ことしろぬしかみ)とされています。

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