「若沖と江戸絵画」をたずねて2>雪に跳ねる兎

◎ 「若沖と江戸絵画」をたずねて 2  

雪中松に兎・梅に鴉図 / 葛蛇玉(かつじゃぎょく)











「松に兎図」


油絵と違って日本画で白を表現するのは、
 とても難しいのですが、

 日本の美の一つ
  「雪景色」は画家の腕の見せ所
でもあります。

鶴の絵も細い足で立つバランスとともに、
 鶴の白さをどう表現するかは、
 後で白色を重ねることをせずに
 紙地なり絹地なりを活かせて、
 鶴を生きているように描ければ
 日本画家として一人前なんだと。。


話は変わりますが、、
この「雪中松に兎・梅に鴉図」には、
 舞い落ちている雪は 胡粉 ごふん で描かれています。

胡粉とは、
鉛を酢と塩で酸化させて
     白い粉にした鉛で、
その原料は、
天然カキ の一種でカキより一回り大きい
  イタボガキ
だそうです。
胡粉雛人形の頭(面部)
    にも使用されているそうです。












 梅に鴉図」

降る雪以外の積もっている雪や
からす の輪郭は紙の地色なのですから、
 どう描いたのか?
 今なお 諸 説 紛 々 だそうです。


舞い落ちる雪片に 互いが触れ合わずに、
   でも不自然でない。。


葛蛇玉 (1735-1780) は、玉泉寺 という 浄土真宗 の
 寺の次男として生まれた 大阪の画家さんです。

大阪にある 関西大学 には《 山高水長図 》という
 葛蛇玉
の作品を所蔵されているそうです。
 これらを含めて 葛蛇玉 の筆とされるものは、
        4点ほどだそうです。

伝わる作品は少しであっても、
「雪中松に兎・梅に鴉図」
の偉大さは、
 彼の評価をとても高くさせています。

この展覧会でも、
 
松に兎 が向かって右に置かれていましたが、

今橋 理子 氏
( 学習院女子大助教授 )は、
 カラスとうさぎが日月をあらわしているのだとして、
 右に
梅に鴉 左に 松に兎を置くべきだと。。
 
そちらの置き方も観たかったなあ。。

  (『江戸の動物画 近世美術と文化の考古学
      今橋 理子 著( 東京大学出版会,2004年12月 ))

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